2020年暮れに本社オフィスを東京・汐留から浜松町近くの「東京ポートシティ竹芝」に移転したばかりのソフトバンクを訪問すると、オフィスフロアの3階ごとに配置された広々としたラウンジはガランとしたままで、人影は疎らだった。

「本社オフィスに登録している従業員は1万2000人だが、現在の出社率は15%。2000人しか来ていない状況だ」(総務本部グループ総務統括室グループオフィス戦略部部長・佐藤信秀氏)

ソフトバンク新本社のラウンジ(写真:筆者撮影)

ソフトバンクが本社移転を正式発表したのは、新型コロナウイルス感染症の拡大が始まる前の2019年1月。当初からコミュニティー型ワークスペースをグローバルに展開するWeWorkのオフィスデザインを取り入れて、オープンイノベーションを創出する「場」づくりを目指していた。

新オフィスのコンセプトは「Smart&Fun!」――。「従来は作業するだけのスペースだったが、新オフィスはコラボレーションのための空間にする」(佐藤氏)と、オフィス空間だけでなく、働き方をリ・デザインしようという取り組みだ。

コロナ禍で変わった働き方

ちょうど3年前に、筆者は『将来5割減?「オフィス」に迫り来る構造変化―不動産大手がベンチャー支援を始めるワケ』を執筆した。

デジタル化が遅れていた日本企業でも、モバイルやクラウドの導入が本格化し始めたことで、テレワーク環境がようやく整備され、テクノロジーを活用した働き方が広がっていくことが予想されたからだ。

ソフトバンクでも、旧オフィスでは登録人数の110%の座席を用意して、机がズラリと並べられた従来型のレイアウトだったが、新オフィスでは、空いている机を自由に利用するフリーアドレス制を導入した。

「実際に試してみないと必要な座席数は把握できない」として、当初は登録人数の70%の座席数でスタートしたが、5月に日比谷オフィスを引き払って1500人の営業部隊が新本社に合流するのに合わせて50%まで引き下げる予定だ。

「近くWeWorkジャパンの竹芝オフィスもオープンして、グループ会社が移転する。当面は出社率を抑えることになるが、コロナ禍が収束してもオフィスでの働き方は大きく変わる。オフィスのスマート化もまだ道半ばなので、自分たちがモルモットになって新しい取り組みを進めたい」