アメリカ・ワシントンで2021年4月16日に行われた日米首脳会談は、共同声明で日中国交正常化以来、初めて台湾問題を盛り込んだ。同時に、日米安保を中国抑止の「対中同盟」に変えようとし、同盟強化を外交の柱に据えたバイデン政権は、台湾有事の危機感を煽ることで日本を対中抑止の「最前線」にしようと狙っている。

台湾に言及した共同声明は、アメリカの「深謀遠慮」が見事に結実したことを見せつけた。台湾有事は本当に近いのかという論点をはじめ、共同声明が提起する「日米中安保」の4論点を整理する。

バイデン政権による周到な準備

台湾問題の言及を含め安全保障政策の大転換は、2016年に施行された安保法制前なら、野党や世論を巻き込んで大論争に発展していただろう。コロナ感染の第4波に見舞われ、コロナ対策がプライオリティになっていることもあるが、安保論争は「音無し」だ。

台湾については、トランプ前政権の積極的関与政策を継承したバイデンの周到な準備があった。第1は、首脳会談の「前座」になった日米安全保障協議委員会(「2プラス2」)だ。

「2プラス2」は、「台湾海峡の平和と安定の重要性」という一文を2005年以来初めて共同文書に盛り込んだ。さらに米中の政治、経済、軍事、IT技術をめぐる対立だけでなく、尖閣、南シナ海、台湾、香港、新疆の人権問題に至るまで、米中対立のあらゆるテーマを網羅し、中国を「批判」、「反対」、「懸念」表明する。

日米両国がこれほど包括的に中国を全面批判した外交文書は初めてであり、中国を敵対視する「対中同盟」化の流れも「2プラス2」で決まった。