「人口が最近増えているので、建てても、建てても、家が足りない」。住宅販売の関係者と話すと必ずと言っていいほど、聞く言葉がこれだ。ニューヨーク州やカリフォルニア州の話ではない。日本人からするとカウボーイやサボテン、あるいは最近では「サウス・バイ・サウスウエスト」などで知られるテキサス州の話である。

アメリカでも伝統的な保守層が多い田舎、と見られがちな同州は今、移住ブームに沸いている。不動産仲介業者からなるテキサス・リアルターズの「2021テキサス移住レポート」によると、2019年に同州には50万人が移住。住宅販売関係者によると、カリフォルニアからの移住者が圧倒的に多いが、最近ではニューヨークからの移住者も増えているという。

1000軒規模のコミュニティが乱立

テキサス州、と聞いてすぐに場所がわかる日本人は少ないだろう。同州はいわゆる「南部13州」の1つで、メキシコとの国境に位置している。面積は約69万キロ平方メトートルと、日本の2倍近くある。ヒューストン、ダラスという2大商業都市に加え、サウス・バイ・サウスウエストが開催されるIT集積地のオースティンなどが有名だろうか。

テキサス州の地図(イラスト:Peter Hermes Furian/PIXTA)

筆者も4月に訪れ、テキサス州第3の都市サンアントニオ近郊に移住計画中なのだが、同地ではあちこちで住宅開発が進んでいる。大きな街道沿いにはいくつも新しい建売住宅、ゲートコミュニティ(門や塀で囲われている住宅街)の販売看板が乱立している。値段は日本円で2000万円代から5000万円くらいまでのものがほとんど。多い場所では2000もの一戸建て住宅を抱えるコミュニティもある。

実際に私もそのうちのいくつかに立ち寄ってみたが、1000軒規模の住宅を抱えるコミュニティは、コミュニティセンターやジム、プール完備という場所が多い。その広大さはどこも圧巻という感じだ。

人々はなぜ、今テキサスを目指すのか。この州は日本人にとっては、まだまだマイナーだが、全米においては経済の屋台骨を支える重要な土地でもある。アメリカではまだテキサスは「ど田舎」と考えている人が少なくないうえ、カリフォルニアなど民主党地盤を代表する土地から見ると、保守派のイメージが強い。それでもテキサスに移る人が絶えないのは、この州に期待できる経済成長や安定性が高いからと言えるだろう。