これまでにないジャンルに根を張って、長年自営で生活している人や組織を経営している人がいる。「会社員ではない」彼ら彼女らはどのように生計を立てているのか。自分で敷いたレールの上にあるマネタイズ方法が知りたい。特殊分野で自営を続けるライター・村田らむが神髄を紡ぐ連載の第94回。

京都でオーストラリア出身の彼が開いたブリューパブ

出張で京都を訪れた際、知り合いに

「オススメのクラフトビールのお店があるのですが行きませんか?」

と誘われた。

クラフトビールとは小規模なビール醸造所で造られるビールのことだ。以前は地ビールと呼ばれることが多かった。

個人的には過去に地ビールに対してあまりよい思い出はなかったのだが、それでもせっかくだから足を運ぶことにした。もちろん新型コロナウイルスの感染対策には十分に気を配ったうえでのことだ。

『京都ビアラボ』の外観(筆者撮影)

『京都ビアラボ』は、高瀬川沿いの木屋町通というとても京都らしい風情のある町の中にあった。ドアを開けると、狭いながらもおしゃれな店内だ。店の奥には大きなタンクが置かれているのが見えた。

『京都ビアラボ』はブリューパブだ。ビールの醸造(Brewing)をしながら、酒場を経営している。つまり、いつでも造りたてのビールを味わうことができる。

店内や通販では、その場で詰めた缶ビール、瓶ビールも販売している。

鳥獣戯画のグラス(筆者撮影)

さっそく、ペール・エールを注文してみた。鳥獣戯画のデザインのしゃれたグラスに注がれる。非常に爽やかでスッキリした飲み口で驚いた。オーストラリア産のホップの香りが心地よかった。

地ビールは「チーズのような臭い」のする、垢抜けないビールという、筆者のイメージは一瞬でどこかへいってしまった。

名物である『かぶせ茶ホワイトエール』は確かにお茶のいい香りがするのだが、前面に出ずうるさくない。マカダミアナッツやココナッツコーヒーなどがフレーバーとして入ったお酒も同じで、嫌味がなくとても飲みやすい。

醸造期間が長いビールはまるでワインのような色合い、味になっていた。名前もバーレーワイン(麦のワイン)と呼ばれる。

そんなビールは、はじめて味わいとても驚いた。

クラフトビールの魅力に一気に取りつかれてしまった。

知人に、カウンターの中で働いていたブルワー(醸造担当者)を紹介してもらった。

トム・エインズワースさん(34)はオーストラリア出身の白人男性だ。京都ビアラボを仲間たちと立ち上げてもう4年目になるという。

トムさんはどのような道を経て、京都でビールのブルワーをすることになったのか、後日の開店前の店内で話を聞いた。