アメリカのバイデン大統領は就任100日目を翌日に控えた4月28日、上下両院合同会議において1時間超に及ぶ施政方針演説を行い、議員と国民に向けて今後4年間のビジョンを語った。

本稿では、バイデン氏の施政方針演説に登場したキーワードと、アメリカの情報機関がバイデン氏に報告した情報リポートから読み解ける未来予想図について解説していきたい。

大統領の施政方針演説は、アメリカが直面する課題について政策的な方針を語るという位置付けから、内政中心になることが多い。今回の演説から読み取れるバイデン氏の政策の軸は「大きな政府への志向」であり、これは「アメリカ・ファースト」を掲げたトランプ前大統領よりもアメリカのナショナリズムと保護主義をより強めることを意味する。

バイデン氏はインフラ刷新を中核とする2兆ドル(218兆円)超の「米国雇用計画」を推し進める決意を示したが、その柱となるのが「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買おう)」の強化だ。

アメリカの技術と製品の優位性を維持する

バイ・アメリカンとは1930年代の世界恐慌後から続く伝統的な経済政策で、2009年に成立した景気対策法に条項として盛り込まれた。バイデン氏は大統領就任直後、年間6000億ドルに上る連邦政府の調達契約での抜け穴をふさぐための大統領令に署名して、政策を推進する姿勢を見せている。

演説の中で、バイデン氏は「風力タービンのブレードを北京ではなくピッツバーグで製造できない理由はない」と中国を名指ししながら、「米国雇用計画のすべての投資は『バイ・アメリカン』という1つの原則によって導かれる」と訴えた。つまり、政策実現の可否は、先端科学技術分野での中国の追い上げを振り切り、アメリカの技術と製品の優位性を維持することにかかっているといえる。

さらに、人工知能(AI)などの研究開発を「過去最大のペースで加速させる」と述べたうえで、国防総省傘下の国防高等研究計画局(DARPA)について「アメリカの国家安全保障を強化する技術的大躍進を開発する、それが彼らの仕事だ。インターネットから全地球測位システム(GPS)まで、国家安全保障を強化する多くの技術を生んできた」と紹介して、米国雇用計画のビジョンを結んだ。