日立製作所が英国向けに製造した高速鉄道車両「クラス800」シリーズの一部で車体の下部に亀裂が発見され、5月8日以降、英国の鉄道幹線で多くの列車が運休する騒ぎとなっている。

2017年の登場以来、英国では幅広く乗客から好評を得ているクラス800シリーズにとって、まさに寝耳に水となった今回のトラブル。いったい何が起きたのか、発見からこれまでの経緯やメーカーである日立の対応、そして列車運休が続く駅の様子などを取材した。

同型の全車両が運行停止に

クラス800シリーズは800・801・802と複数のタイプがあり、これらの車両を運行しているオペレーターは現在4社ある。主要幹線の運行を担うグレート・ウェスタン鉄道(GWR)が計93編成と最も多く、次いでロンドン・ノースイースタン鉄道(LNER)が計65編成を運行。イングランド北部の中小都市を結ぶトランスペナイン・エクスプレスは19編成、ロンドンとイングランド北東部を結ぶハル・トレインズも5編成使用している。

最初に導入したのはGWRで、2017年秋にロンドン―イングランド西部/ウェールズ間を結ぶインターシティ・エクスプレス(都市間高速列車=IET)として運行開始。一方、LNERはロンドン―イングランド北東部―スコットランド間を結ぶ東海岸線の高速列車として投入し、「AZUMA」(あずま)の愛称がある。国内主要都市を結ぶ高速鉄道専用線がない英国において、どちらも日本で言えば新幹線並みの役割を担う路線といえる。

亀裂は5月8日にGWRの車両で発見され、安全点検のために他社の車両も含めて同型車が一斉に運行を取りやめた。英国の運輸当局は、運行オペレーターに対し「早急に代替移動手段などの対応策」を求める一方、メーカーの日立に対しては「検査点検の計画および、長期的な修理計画の提出」を求めている。英国の鉄道では、車両のメンテナンスは運行オペレーターの意向に沿った形でメーカー側が受け持つシステムとなっているためだ。

日立は今回の亀裂が起きた場所について、車体下部の「リフティングポイント」であると特定している。これは車両の定期点検などの際に、車体を持ち上げて台車から切り離す時に用いる部分だ。