コロナ政局が混迷の度を深める中、立憲民主党の枝野幸男代表の発言が政界に複雑な波紋を広げた。

枝野氏は5月10日、「コロナが大変な時に解散の誘発は避けるべきだ」と発言した。かねてから「不信任提出は解散の大義になる」と繰り返す菅義偉首相の「恫喝に屈した」(首相経験者)との印象も拭えず、「本音は解散が怖いから」(自民幹部)との声が相次いでいる。

事実上の不信任案「提出断念」宣言

枝野氏は10日、記者団から菅政権に対する内閣不信任案提出の可能性を問われた際、「(新型コロナウイルスの感染拡大が続く)現状で(衆院を)解散できる状況ではない。(菅首相は)提出したら解散をされると明言されているので、提出はできない」と語った。

政権攻撃の急先鋒だった共産党の小池晃書記局長も、10日の記者会見で「100回くらい不信任には値する内閣だと思うが、(コロナ感染拡大の中で)野党からいまの時点で提出するのは賛成できない」と枝野氏に同調した。

枝野、小池両氏とも「現状では」「いまの時点では」としており、コロナ感染が早期に収束した場合の不信任案提出に含みを残している。しかし、6月16日の国会会期末までの1カ月間で感染が充分に収まる事態は「まったく想定できない」(感染症専門家)ため、事実上の不信任案の提出断念宣言であることは明らかだ。

野党第1党の党首が解散を恐れて不信任案を提出できないとすれば、「国民の目にも、次期衆院選での政権交代をあきらめているように映る」(国民民主党幹部)のは当然だ。このため、立憲民主党の内部からは「リーダーとしての覚悟に欠ける」との不満が出るなど、枝野氏の党首としての資質も問われる事態となっている。