また、近藤副市長は、「ご夫妻は(10日午後)、すでに会場に向かってお見えになりましたが、ご説明をさせていただき、ご理解をされて接種を取りやめていただきました」ともコメントしているだけに、スギ薬局側への疑惑は深まるばかり。

もちろん真相はわからず、本当に秘書の独断である可能性もありますが、世間の人々はそう思っていないようです。ネット上には、「『秘書がやった』って政治家かよ」「会社としてダメ。下線まで引いていやらしい」「接種会場に向かってたじゃん。嘘つくなよ」「選民意識と責任逃れ」などの批判が挙がっていました。

今回の件は西尾市とスギ薬局の両者に問題があることは間違いありませんが、それぞれの対応には明らかな差が見られます。西尾市が会見を開き、質疑応答に応じて丁寧に説明した一方、スギ薬局はホームページ上に書面1枚を公開したのみ。この程度の不十分な対応では、「やましいことがあるから詳細は答えられない」「スギ薬局は逃げた」と邪推されても仕方がないでしょう。

地域住民と従業員への裏切り行為

スギ薬局の書面には、「ワクチン接種をお待ちの西尾市の方々はじめ、全国の皆さまにとって不快な行為であったこと、日夜尽力されている全国の行政の方々の努力に水を差す結果となってしまったことに深くお詫び申し上げます」という謝罪文が書かれていました。しかし、本当に謝罪しなければならないのは、もっと身近な人々でしょう。

私はスギ薬局が急速に店舗数を伸ばしはじめた2000年代前半、10店を超える新店舗のオープンに立ち会う経験がありました。そこで社員たちは売り上げ以上に地域の人々を大切にし、とりわけ高齢者を手厚くサポートしていたのです。

実際、スギホールディングスの経営理念には、「私たちは、まごころを込めて親切に応対し、地域社会に貢献します。私たちは、社員一人ひとりの幸福、お客様一人ひとりの幸福、そして、あらゆる人々の幸福を願い、笑顔を増やします」という文章が掲げられています。

そのような経営理念を掲げているから、健康面を担う薬の販売に最注力してきたほか、生活用品をそろえ、安価の食料品もそろえるなど、地域住民の暮らしを幅広く支援してきたのでしょう。今回の騒動はスギ薬局を身近に感じ、信頼して通っている地域住民たちを裏切ってしまったのです。