この時、もう一つ考えるべきだったのは、仮に日本の土地を半分売ればその代金でアメリカ全土が買えるとしても、はたしてその代金を支払える主体があるかどうかだ。

換金して使うことができなければ、資産の価格は実質を伴っていない。もちろん、売る人と買う人がいて、資産の大半の所有者はその資産を持ち続けているという状態が通常の状態なのだが、本当に売って換金しようとする人が増えた時には均衡が急激に崩れ始める。

アメリカの「上位1%」が保有株の評価額に満足しているうちはいいが、それを売って消費に回そうとする向きが増えたときに、株の買い手がいなくなったり、或いは資産の売却代金に見合う財・サービスの供給が追いつかずにこれらの価格が高騰して、資産の実質価値が下落したりする状況が起こる可能性がある。

その可能性に対して、「FRB(連邦準備制度理事会)もアメリカの政府も、株価の下落を許容しないはずだから大丈夫だ」と信じ切っている人が増えると、だんだん危なくなってくる。

筆者は、アメリカ株の現状に関して「バブルのプロセスに入っているが、まだしばらく崩壊しないだろう」という程度に考えており(予想はあてになりません!)、下落する場面があっても長期保有でいいと考えている(それ以外にいい方法がないからだ)。

しかし、長者がさらに大金持ちになるために株価を使い、加えて経営者を株主により都合のいい経営(典型的には自社株買い)をするようにストックオプションでインセンティブをつけて、いわば「株式で買収し」、それによって株価上昇が後押しされている状況が、広く信じられている「株式神話」の背景だということになると、長期的には相当に危険だ。

危機が現実化した場合は長い調整に

危険が現実化したときに最も起こりそうなことは「これまでに経験したことがないくらい長い調整」だろう。投資家としては、これまでが素晴らしかった分のコストの一部だとでも思って耐えるしかない。「まだまだ調整だろうと思って投資せずにいたら、短期間で株価が急騰して乗り遅れた」という失敗に陥る投資家が実に多いので、「下がっても我慢」が一応のセオリーだとあらかじめ申し上げておく。

投資をしている限り心配の種は尽きないが、心配だからこそ投資は儲かるのだという仕組みになっているので、これは仕方がない。ただ、株式による錬金術は相当にネタバレしているし、徐々に飽和しつつあるように思う。そろそろ次の大金持ちを作るための定石が生まれてもいい頃だ。それは、何だろうか?

過去を振り返ると、土地・不動産と株式のいずれも価格の形成の際にリスクプレミアムが織り込まれることが期待できる「投資」の対象であり、外国為替や商品市場のようなゼロサムゲーム的な投機ではなかった。

次の儲けの種も「資本」の性質を持つ何らかの対象だろう。何らかの形で資産化された知的財産権のようなものではないかと想像するが、さて、どうだろうか?(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。