こうして見ると、1909年に開業した時の駅名選定が惜しいような気がする。三田駅または芝駅のほうがよかったかもしれないが、先んじて兵庫県に「三田(さんだ)駅」が存在しており、同名駅を避けたことが影響したか。

羽田空港アクセス線の分岐予定地付近を走る東海道新幹線(筆者撮影)

2029年度の開業が目指されているJR東日本の「羽田空港アクセス線」のうち、東山手ルートの起点、つまりは東海道本線との分岐点は田町とされている。ただし、駅は設置されない計画だ。現在、東京国際空港へのアクセスの主力となっている東京モノレールの起点は隣りの浜松町であるし、東海道新幹線、中央リニア新幹線の駅は品川である。田町は、こうした交通拠点に囲まれた位置にあり、今後、間に埋もれていかないか、心配もある。

モノレールが通るが駅はない

東京モノレールの線路は、田町駅のすぐ東側を通っており、ホームから行き交う電車も見える。浜松町と隣りの天王洲アイルの間は4.0kmも離れているが、間の田町(芝浦)地区に駅はない。羽田空港アクセス線の開業後にモノレールの利用客が減少するのは目に見えている。都心―空港間の連絡鉄道から地域密着路線への転換は既定路線である。線路の構造上、駅の増設は難しいとの話も聞くが、港区としては、この付近に新駅設置を求めてもよいのではないかとも思う。

芝浦口側には広い駅前広場があり路線バスも乗り入れる(筆者撮影)

三田口側を通る第一京浜国道がかつての東海道(筆者撮影)

現在の田町駅周辺はビジネスエリアだ。日本電気や三菱自動車工業、バンダイナムコ、森永製菓などの本社が集中している。朝夕の改札口付近の混雑は、他の都内の駅と変わらない。東側の芝浦口側には広いペデストリアンデッキがあるが、それでも通行区分を守って歩行するよう港区が呼びかけているほどの、太い人の流れができる。

反対に三田口側はビルに囲まれて手狭で、都営地下鉄乗り換え客が混雑に拍車をかける。田町、三田両駅を直接結ぶ通路はなく、一度、駅前広場に出なければならない。また、路線バス(都バス)乗り場は、三田口では田町駅からは少し離れた第一京浜にあり、乗り入れる系統も限られる。三田駅の真上なのだが、バス停名は田町駅前だ。