2020年に世界経済は未曾有のコロナ危機に見舞われ、現状もその闘いは続いている。日本の対応はどのように評価できるのか。以下では、日本と先進各国の2020年のコロナ対応を国際比較し、私たちが今、検討すべき政策課題を指摘する。

人口当たりのコロナ感染者数や死亡者数を見ると、日本は欧米諸国に比べて圧倒的に少ない。イギリス、イタリア、アメリカなどの死亡率は非常に高く、アジア諸国のそれは低い(コロナの感染・死亡率の詳細などはNIRAオピニオンペーパーno.57『日本のコロナ対応策の特徴と課題―国際比較の視点から見えてくるもの』に掲載)。

また、全体の死亡者数がコロナ禍以前よりもどの程度増えたかを示す「超過死亡数」も、日本の場合は平年並みで推移し、人口動態全体への影響は一貫して小さい。イギリスは2020年4月に死亡者数が平年の倍以上になり、アメリカ、スウェーデンも2020年は死亡者数が高い水準で推移した。これに対し、日本ではマスクや手洗いなどの徹底でインフルエンザなど他の病気による死亡者が減少し、人口動態への影響はほぼ見られない。

ただし、日本の死亡者数が増えなかったから経済の落ち込みが小さいというわけではなさそうだ。IMF(国際通貨基金)加盟国のデータを見ると、2020年のコロナによる死亡率と名目GDP(国内総生産)変化率との間に明確な関係(負の相関)は見られない。死亡者の多寡が経済に決定的な影響を与えているわけではない。

GDPを左右したのはコロナ被害でなく行動制限

それでは、各国経済の落ち込みの要因は何であろうか。2020年のG7諸国の経済の動きを見ると、消費の減少がGDP減少の7〜8割と大半を占めた。また消費が最も大きく落ち込んだのは英国、次いでイタリア、フランスだ。いずれの国もサービス消費の激減が消費の落ち込みのほとんどを説明している。

特に英国は、対面の食事や観光、交通などサービスの消費に占める比率が高く、厳格なロックダウンを何度も行わざるをえなかったことが経済に打撃を与えた可能性が高い。日本経済の落ち込みは、先進国の中ではロックダウンをしなかったスウェーデンに次いで小さかった。