残念ながら、この分野では、日本は非常に遅れています。日本の経営者は、1990年代に入ってから非正規雇用を増やし、人件費を削減してきたとともに、もともと少なかった社員の教育・スキルアップへの投資も削ってきました。人材投資は絶望的な水準まで減っています。言うまでもなく、この比較もGDP対比ですから、日本の実態はさらに悪いです。

日本人の知らない「PGSを増やす」という戦略

成長戦略会議で麻生副総理が指摘していたように、日本は1990年代以降、生産性を高めるための包括的な経済政策を国策として実施してこなかったことが大きな問題だったと思います。

象徴的なのが生産的政府支出(PGS)です。日本は対GDP比の政府支出は比較的高いのですが、それは高齢者を支える負担、つまり社会保障の増加によるものです(参考:日本人の知らない経済政策「PGSを増やせ!」)。

政府支出は、社会保障費という「移転的政府支出」と「生産的政府支出」に分けられます。前者はGDPの成長率にマイナスに働く一方、後者は生産性を上向かせ、GDPの成長に貢献すると分析されています。

日本の場合、1990年以降、生産性を高める包括的な経済政策をとってこなかったことを反映して、生産的政府支出は非常に低調です。対GDP比で1割を切っています。先進国平均は24.4%、途上国ですら20.3%です。

人口減少に立ち向かうためには、生産的政府支出を増やす必要があります。

実は、経産省が令和3年6月に発表した「経済産業政策の新機軸」には、生産的政府支出についての記述が何カ所かで見られます。たとえば「単なる量的な景気刺激策ではなく、成長を促す分野や気候変動対策などへの効果的な財政支出(ワイズスペンディング、生産的政府支出(PGS))による成長戦略が、新たな経済・財政運営のルール」とあります。