ヨーロッパは7月中旬の記録的な大雨により、一部地域では洪水が発生するなど大きな被害に見舞われた。死者の数は約200人(7月24日時点)に達しているが、ドイツだけでも未だ150人以上が行方不明となっており、犠牲者の数は今後も増える可能性がある。

とくに被害が大きかったのは、ドイツ西部のラインラント・プファルツ州やノルトライン・ヴェストファーレン州などで、7月13日ごろからの豪雨の影響を受けて14日から15日にかけて河川の氾濫による洪水が発生した。各地で甚大な浸水被害が発生し、中には水が2mの高さにまで達した家屋もあった。住民も「40年以上住んでいるが、こんな被害は初めて」「この状況は誰も予想すらできなかった」と口々に語った。

ベルギーでも河川の氾濫により死者30人以上に達する被害が報告されており、とくにドイツ国境に近いナミュール州やリエージュ州の被災が深刻だ。オランダやオーストリア、チェコでも大雨による被害が発生している。

ドイツ西部の鉄道に壊滅的被害

この水害は、交通インフラにも大きな被害をもたらした。濁流に飲まれた多くの町や村は、道路・鉄道ともに寸断され、輸送に多大な影響が出ているだけではなく、救援活動にも支障をきたしている。

ドイツの鉄道は各地で被害を受けている。線路際の土砂が崩落したドレスデン近郊の路線(筆者撮影)

ドイツ鉄道のインフラ部門であるDBネッツ(DB Netz AG)は、同社が管理する約3万3400kmの路線網のうち、ラインラント・プファルツ州とノルトライン・ヴェストファーレン州だけで約600kmの路線、約80カ所の駅が水害によって壊滅的な被害を受けたと述べた。全国では50カ所以上の橋梁が被災し、1000カ所以上で架線や信号機などに影響が出ているといい、現時点で被害総額は約13億ユーロ(約1690億円)に達すると推定している。