日経平均株価が3万円回復にかなり苦戦している。その背景には、大きく分けて2つの要因があると筆者は考える。

まずひとつ目は、海外経済に対する期待が一服しつつあることだ。現在、驚異的なペースで回復を遂げているアメリカは、やや長い目で見れば、成長ペース鈍化が見込まれる。またコロナからの回復が早かった中国もここへ来て回復一服の兆しが散見されており、投資家の期待は徐々に縮小方向に向かっている。日本企業への追い風がやむことを懸念する投資家は少なくないはずだ。

そしてもうひとつは、単純に日本の内需が弱いことに対する懸念だ。以下、最新のデータを踏まえ、投資家心理を読み解いていく。

アメリカの長期金利低下は何を織り込んでいるのか?

海外経済への期待一服と言えば、アメリカ長期金利の低下がそれを物語っているように思えて仕方がない。年初の段階で多くの投資家が懸念していたアメリカ長期金利の急上昇は実現せず、7月下旬にアメリカ10年債金利は年初来の上昇をほぼ消した。アメリカ長期金利の低下は何を織り込んでいるのか。「需給」と「ファンダメンタルズ」に分けて考えてみたい。まず、需給面では何と言ってもFED(連銀)の国債購入が効いている。

2022年1〜3月期のテーパリング(量的緩和の段階的縮小)開始がコンセンサスになっているとはいえ、現在のところ毎月800億ドル(その他にMBS=不動産担保証券=400億ドル)の国債購入は継続しており、これは債券市場の需給を強力に引き締めている。

また短期筋のショートカバー(金利上昇を見込みアメリカ国債を空売りしていた主体が予想外の金利低下に直面し、空売りを解消すること)も強く効いているとみられる。多くの投資家が警戒していた金利上昇が一向に実現せず、そのこと自体が売り方の諦めにつながった形だ。

そして需給要因以上に重要なのはファンダメンタルズだ。本来、景気回復期待が膨らむ局面では予想インフレ率の上昇を伴って金利上昇となるのが教科書通りだが、そうならないのは債券市場参加者が(1)高インフレが一時的であることに自信を深めた、(2)リバウンド一巡後のアメリカまたは中国の景気減速を懸念し始めた、この2点が背景にあると考えるのが自然だろう。