結論から言えば、「自転車操業」の資金繰りが続いていた。高利金融業者からの借り入れに手を染め、その返済と利息の支払いに追われた。破産時に裁判所へ提出した代表者の「陳述書」に、詳しい経緯が記載されている。

今から6年前の2015年夏のこと。当時の年商は2億円弱にとどまり、赤字続きで金融機関からの借入余力は乏しかった。このため、知人の紹介で知り合った金融業者Aから会社として300万円を借り入れた。利息はなんと「月1割」。翌月330万円の返済のためにお金が必要となり、他の金融業者から借り入れ返済に充てた。「そのとき既に、高利業者への返済が泥沼化していた」と代表が振り返るように、借入金額は年々膨らんでいった。Aからの借り入れだけでも、「記憶している範囲だけでも合計3億4800万円以上」にのぼったという。

それでも、業績が右肩上がりの時期は良かった。売り上げにともなう現金回収が相応にあったからだ。業績の伸びに比例して、地銀や信金からの借り入れも一気に増えた。最終的な借入総額は16の金融機関に対して10億円あまり。これら融資金の一部が金融業者への返済原資にもなった。地銀や信金に約2000万円の毎月の返済を続けながら「自転車」をこぎ続け、資金ショートをなんとか回避し続けた。

「ドライバー厚遇」が仇に

そもそもなぜ、当社の資金繰りは「自転車操業」が続いたのか。主な要因は大きく2つ。ひとつは「人件費の高さ」。そして2つ目は2019年後半以降の「主力部門の売上激減」だ。ドライバーへの支払い=人件費はあえて高くしていた。

当社が本格稼働した2015年当時から、代表は「人件費を高くして、他社よりも魅力的な会社と思ってもらい、人を集めようと考えていた」。このため慢性的に支出が多額になりがちだった。

そして2019年5月頃、当社が下請け受注していた運送会社で顧客への水増し請求が発覚。その件以降、その運送会社からの下請け受注が落ち込み、月商4000万円ほどあった主力部門の売り上げが激減した。これに代わる柱となる部門はなく、経営上大きな痛手となった。

2019年8月には東京国税局による査察調査が行われ、架空売り上げ計上による粉飾決算が発覚。決算内容の修正を余儀なくされ、大幅な債務超過に転落した。コロナ禍直前の2020年1月、金融機関に対する毎月の返済ができなくなり、リスケジュール要請に至った。銀行団との交渉を経て弁済計画案を作成し、2021年1月から毎月定額の弁済を再開したものの、最後は4月末の支払いができず事業継続を断念した。