新型コロナウイルスの感染拡大で、全国で人の移動が著しく減った。そのため鉄道旅客需要が激減しただけでなく、本来なら鉄道事業を補完すべきはずのホテル、レジャー、百貨店などの事業も落ち込んだ。2020年度の鉄道業界では、赤字決算となる会社が相次いだ。

厳しい業績を受けて各社は役員報酬を減らした。従業員の平均年収も前年度から減っている。では、その変動幅は会社によってどう違うのか。

そこで、上場するJRと大手私鉄、および東京メトロについて、有価証券報告書に記載されている役員報酬と従業員年収における2019年度と2020年度の比較を行った。役員報酬は社外取締役と監査役を除く取締役の報酬の総額である。

営業黒字の会社が「減少率」1位

まず役員報酬の変化率について見ていこう。

役員報酬を最も減らしたのは南海電鉄で、その減少率は35.9%だった。以下、2位阪急電鉄35.6%、3位名古屋鉄道33.8%、4位JR東海31.5%と続く。

南海の2020年度決算は売上高こそ前期比16.3%減の1908億円だったが、営業利益は55億円の黒字を維持した。営業赤字に陥った鉄道会社が相次ぐなか、黒字となったことは誇っていい。にもかかわらず役員報酬の減少率は今回調べた鉄道会社の中では最も大きかった。

同社では役員賞与の計上見送りなどの対応を取っており、役員報酬の減少は経営責任を取ったことの表れでもある。また、2019年の株主総会で選任された取締役数(社外取締役除く)は6人だったが、その後1人がグループ会社の社長に転出して2020年の株主総会で選任された取締役数は5人だった。こうした人員減の要素も考えられる。

上場するJR各社で最も役員報酬の減少率が大きいのはJR東海。2020年度の売上高は前期比55.3%減の8235億円。営業利益は2019年度の6561億円の黒字から1847億円の赤字へ転落。売上の多寡にかかわらず発生する固定費用の割合が高いため、減収がもろに利益減に跳ね返った。もっとも、減少率は高いとはいえ、2020年度の役員報酬の総額は5.7億円とその額の大きさでは突出している。