ただ、日本の個別銘柄に投資している向きや、TOPIX(東証株価指数)連動ファンドなどを保有している投資家は、「日経平均は不振だが、自分の投資はそれほどひどくない」と感じているのではないだろうか。

日経平均は先週末の7月30日には2万7283円で引け、7月20日(2万7388円)に続いて、今年初の滑り出し時期を除いての「年途中の終値ベースでの安値」であった2万7448円(5月13日)を割り込んだ。

しかしTOPIX、マザーズ指数、JASDAQ指数などは、5月安値を下回ってはいない。結果として、NT倍率(日経平均÷TOPIX)は、今年2月25日の15.66倍でピークを打ち、その後上下動を見せながらも低下基調をたどって、7月30日は14.35倍と、昨年10月以来の低水準となっている。

日本株の株価指数の中でも、日経平均ばかりが不振となっている背景は、日経平均の算出に影響が大きい値がさ株(価格が高い株)、とりわけソフトバンクグループとファーストリテイリングの株価下落が大きいだろう。

両社に共通するリスクとして、「中国リスク」が取りざたされている。前者は、ビジョンファンドを通じて多くの中国企業に投資を行っている。また後者は、同社が新疆ウイグル自治区における人権問題について明確な姿勢を示していない、との海外投資家の疑念だ。

世界の投資家が中国リスクを懸念し始めた

実は筆者は、中国に関連した諸リスクが市場で懸念を呼ぶことについて、嫌な気配を少し前から感じ始めていた。というのも、筆者が講師を務めるセミナーでの質疑応答や、ラジオ出演時にWeb上で受ける質問で「中国株への投資が有望だと考えるが、馬渕さんはどう考えますか」というものが急増していたからだ。

これまでの経験では、そうした特定の質問がとても増えた場合は、その市場が直後に波乱に見舞われたことが多い。筆者は、そうした急増した質問が寄せられた際に「なぜそうしたお尋ねをなさるのですか」とよく逆質問をすることが多いのだが、これまでも、また足元の中国株についての質問でも「自分がとても参考にしている専門家が、書籍やマスコミでそうした主張をしていたから」「証券会社や金融機関が、その分野の商品を勧めてきたから」という答えが返ってきた。

そのように、多くの専門家や金融機関が特定の市場をもてはやす時は、だいたい市況がピークであることが多いため、筆者はかえって不安を感じたわけだ。

それはともかく、足元で中国株への投資が有望だと考えた専門家は、平時の発想で「中国は高い経済成長を遂げると見込まれるのにもかかわらず、株価が低迷しており割安だ」などと判断したのかもしれない(これはあくまで推測だ。実際にどの専門家がどういうロジックで判断したかは、筆者は関心がないので、まったくわからない)。ただ、筆者が議論を交わしている海外投資家などは、すでにそうした平時の発想にはない。