東京五輪閉幕が迫る中、政府が突然、東京などコロナ感染爆発の状態に陥りつつある地域を対象に、入院治療は原則的に重症患者などに限定する方針を打ち出したことで、国民の不安や不満が爆発している。

コロナ感染者への医療方針の大転換ともなるだけに、関係者の間でも「政府が医療崩壊を認めた」「まさに後手後手」などの批判が噴出。与党の自民・公明両党も政府の方針撤回を要求する異常事態となっている。

菅義偉首相は急きょ、医療関係者に協力を要請するなど、国民の理解を得ようと躍起になる一方、「今回の措置は必要な治療を受けられるようにするため」と方針を撤回しない考えを表明。ただ、今回の方針転換について政府は専門家に相談せず、与党への事前報告もしなかったことも明らかとなり、批判・不満を増幅させている。

現場から「すでに医療崩壊」の悲鳴

新規感染者は4日、14都府県で過去最多を更新。焦る政府は5日、「桁違いの感染急増で局面が変わった」(西村康稔経済再生担当相)として、まん延防止等重点措置の対象地域に福島、愛知など8県の追加を決定した。都内の自宅療養者は過去最多を更新し続け、現場では「すでに医療崩壊」との悲鳴が相次ぐ。

菅首相は4日のインタビューで「重症化のリスクのある方は入院していただく。悪化したらすぐ入院ができる態勢をつくる」などと国民の理解を求めた。しかし、ネット上では「患者の切り捨てだ」と大炎上し、「菅首相は即時退陣」がトレンド上位となるなど、国民世論が菅政権を窮地に追い込みつつある。

事の発端は政府が2日、感染者が急拡大している地域で、入院は重症患者や重症化リスクの高い人に限定する方針を決めたことだ。これを受けて菅首相は3日、首相官邸で日本医師会の中川俊男会長らと会談し、コロナ感染者の新たな療養方針への協力を要請した。

会談で菅首相は、中等症患者のうち、酸素投与が必要な人や糖尿病などの疾患がある人は入院対象になるとの基準を示した。中川氏は会談後、記者団に「中等症1でも医師の判断で入院させることでいいと確認したので、(国民には)安心していただきたい」と述べ、政府の方針に一定の理解を示した。

しかし、この政府方針に対し、与党や自治体から不満や注文が相次いだ。公明党の山口那津男代表は3日の菅首相との会談で、中等症患者向けの病床や人員の拡充を強く要求。菅首相が期待する「抗体カクテル療法」について、「点滴を行える場所と機会を有効に生かせるようにすべきだ」と指摘した。