デルタ株の感染が急拡大し、新型コロナの収束が一向に見えない中、8月に東京都台東区の清掃事務所でクラスターが発生し、不燃ごみの収集ができなくなるなど、日常生活が危うくなるケースも出てきた。地方自治を専門とする藤井誠一郎・大東文化大准教授は著書『ごみ収集とまちづくり』でごみ収集の現場で労働体験、参与観察を行い、コロナ禍における清掃事業の問題を浮き彫りにした。同書より一部を抜粋して紹介する。

ごみ収集はほかの自治体では代わりが務まらない

清掃事務所でクラスターが発生し閉鎖を余儀なくされると、近隣の地方自治体から応援を呼べばいいと考えるかもしれないが、収集作業はそれほど単純なものでない。

集積所が記載された地図と土地勘が必要であり、ごみの収集基準も覚えなければ作業は行えない。戸別収集を行っている地方自治体ではなおさら地図と土地勘がなければ作業は行えない。ごみ集積所は1自治体内でも数万カ所存在し、清掃職員はその場所を覚えたうえで、適切な収集ルートを考案し効率的に作業を行っている。また、応援に入る地方自治体の分別基準も把握しておかなければ仕事にはならない。

東京23区の場合は区ごとにごみの分別基準が相違するため別途学習する必要があり、また、清掃工場への搬入可能時間が定められているため、業務時間内に手際よく収集作業を終える必要がある。

このような状況から、収集作業はすぐに他区からの応援で代わりが務まるものではない。

東京23区では、同一自治体内に清掃事務所が1つしかない区は9つにものぼる。その中でも、2000年の清掃行政の区移管後、人員削減や業務の効率化により清掃事務所を統合した区が3区存在する。コロナ蔓延下での清掃行政の維持を考えると、行政改革による事務所の集約化が大きなあだとなって現れてくる。