食品メーカーによる値上げ発表が続いている。例えば、雪印メグミルクは原材料価格の高騰を理由にバターやマーガリンなどの値上げを発表。山崎製パンは穀物や鶏卵価格の高騰、物流費・人件費のコスト増加により和洋菓子の一部値上げを決定するなど、原材料価格や物流費などのコスト増加が企業に値上げを促している。9月8日には農水省が10月期(2021年10月〜2022年3月)の輸入小麦の政府売渡価格を前期から19.0%引き上げると公表した。

消費者物価に先行する投入物価指数(生産のために投入された原材料や燃料などの価格)の「食料品」はすでに大幅に上昇しており、消費者物価にも相応の影響があるだろう。日本銀行短観の販売価格DIは直近6月調査の先行きが2015年9月調査以来の高い水準に上昇しており、値上げラッシュは待ったなしの状況である。

日銀が強調する「適合的期待形成」を考慮すればインフレ目標の達成に向けてポジティブな面もある。しかし、必需財である食品価格上昇は家計の負担となり、経済にとっては総じてネガティブに働くだろう。今回のコラムでは、食品値上げが家計に与える影響を考える。

値上げで食料支出が膨らみ、家計を圧迫

今後、消費者物価指数(生鮮食品を除く食料)が2015年ごろと同程度の1.66%の上昇となった場合、毎月の世帯当たり食料支出は7万6440円(2020年)なので、負担は月1270円程度増加すると試算される。これは毎月の世帯当たりの消費支出(27万7926円、2020年)の0.5%程度である。無視できる金額ではない。

食料は必需財(基礎的支出)であるため消費量を削りにくく、その他の消費を削る必要が出てくるだろう。実際、2015年(平均)の家計調査を確認すると、食料支出は前年比2.7%増、基礎的支出が同3.9%増であったのに対し、選択的支出は同7.8%減となっていた。また、家計のエンゲル係数はコロナ禍以降上昇しており、食品価格の値上げは当時よりも家計を圧迫しやすくなっている。