ZOZOの創設者である前澤友作氏やバルミューダの寺尾玄氏など、音楽家出身の起業家が注目を集めている。また、サイバーエージェントの藤田晋氏など、学生時代にバンド活動をしていた起業家も数多い。なぜバンド経験者で成功する起業家が多いのか。
この疑問について世界的なトップミュージシャンの創造技法から解き明かす話題のビジネス書『創造思考 起業とイノベーションを成功させる方法はミュージシャンに学べ』(東洋経済新報社)が先日刊行された。本書の推薦者であり、バンド経験もある連続起業家の孫泰蔵氏に、起業と音楽の関係を語ってもらった。

仲間とコラボレーションする

起業する前の学生の頃に、僕もバンドをやっていた経験があります。キーボードやギター、テナーサックスなどを担当していました。今も楽器が好きで、人前ではしていませんが、毎日のように自分で演奏しています。

音楽と起業。この2つは一見すると関係ないように思われるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ非常に多くの共通点があります。僕も、起業で大切なことの多くは、音楽活動を通じていつのまにか学んでいました。

今バンドや音楽活動に夢中になっている若い人の中には、「自分はアート側の人間で、ビジネスとは対極にいる」と思い込み、起業やビジネスに対して苦手意識を持っている方もいるかもしれませんが、むしろそういう方々のほうが、起業に必要な、仲間を集めて何かを成し遂げようとするマインド、新しいモノを作る姿勢を持ち、その経験値もある分、アドバンテージがあるのです。だから起業しても、うまくいく可能性が高いと思います。

たとえばバンドと起業の大きな共通点として「仲間を集めて一緒に作品を作り上げる」という点が挙げられます。もちろん、中には一人で作詞作曲して人前で演奏できる天才もいるかもしれませんが、多くの場合はそうではない。メンバーを集め、それぞれの感性や意見をぶつけ合い、化学反応を起こしながら、新しい作品を模索していきます。

自分一人でできることはたかが知れています。いろんな持ち味を持った個性的なメンバーが集まり、彼ら彼女らのいろんなアイデアや発想を取り入れて新しいモノを作り上げていくというプロセスが、音楽活動には必要です。