入社時の希望とは異なる部署への異動や予期せぬ転勤……。そんな経験がある人も少なくないだろう。だが、もともと自分が思っていたのとは違う新天地で力を発揮するというケースもある。

毎日通勤客を乗せて走る電車にも、そんな「人生」を歩んできた車両が存在する。東武東上線を走る「30000系」は、もともと伊勢崎線(東武スカイツリーライン)と地下鉄半蔵門線・東急田園都市線との相互直通運転に備えて導入された車両だったが、紆余曲折を経て東上線に移籍。当初の見込みとは違う職場に移ったものの、今では同線の主力級として活躍している。

地下鉄対応「使い勝手のいい車両」

30000系がデビューしたのは1997年。伊勢崎線と半蔵門線・東急田園都市線の直通運転を見据えた地下鉄対応車両として開発され、2003年までに6両編成と4両編成がそれぞれ15本つくられた。

10両での運行を念頭に置きつつ、6両編成と4両編成に分けた形となったのは、地下鉄乗り入れ以外に地上線で運用する際の汎用性を持たせたためという。30000系同士だけでなく、1世代前の「10000系」とも連結が可能で、「従来車と違い、車形が異なっても連結できるのでかなり使い勝手がよかった。『30000系と10000系を連結すると40000系だ』なんて言っていました」と、車両部車両管理所の川鍋信之さんは語る。

車体は10000系と同じステンレス製。銀色地にマルーン(茶色)の帯を入れたカラーリングも同じだが、正面は窓の下辺が斜めになった独特の表情。側面デザインも、10000系は2つの独立した窓が並ぶのに対して2つの窓をつなげた形に変わり、より洗練された外観になった。

10000系と30000系を遠くからでも一目で見分ける方法があると川鍋さんはいう。「屋根上のクーラーの台数が違うんです」。10000系は4基だが、30000系は3基だ。