巨額の負債を抱える中国の不動産デベロッパー「中国恒大集団(China Evergrande Group)」。その債務がデフォルトの危機に瀕している。中国の金融システム危機、ひいては不動産市場の暴落につながるのではないか、リーマンショックのような危機の世界への連鎖を招くのではないかと懸念されている。みずほ証券チーフクレジットストラテジストの大橋英敏氏にポイント解説をしてもらった。

負債9.8兆円、自転車操業

――中国恒大集団のビジネスと、何が問題になったのか、簡単に解説をお願いします。

住宅、マンションを中心とする不動産デベロッパーで、中国の不動産最大手の一角。大規模な都市開発プロジェクトを進めてきた。少ない資本で借金を膨らませる高レバレッジと自転車操業状態を前提とした急激な業容拡大が注目されてきた。例えば、理財商品(高利回り短期の投資信託のような商品)を使った資金調達もしていたが、それを開発プロジェクトには使わず運転資金に流用していたとの噂があったり、EV(電気自動車)開発会社を子会社に持っているものの、実態は既存のEV会社を買収するための「空箱」だったりという話だ。

2021年6月末で有利子負債残高は5718億人民元(約9.8兆円)、純有利子負債で4101億人民元(約7.0兆円)にのぼる。銀行借り入れが多いが、社債も192億3600万USドル、1.01億香港ドル、合計で約2.1兆円の発行残高がある。

――中国は不動産バブルのソフトランディングを目指し、問題企業の整理を進めてきていたはずです。ここへ来て中国恒大集団のデフォルト懸念が高まった理由は?

昨年8月に中国政府が打ち出した「3つのレッドライン」という財務改善要求が遠因だ。①負債比率(Liability to Asset)を70%以下とする、②ネットの負債資本比率(Net DER)は1倍以下、③現預金短期有利子負債比率(Cash Coverage of ST Debt)を1倍以上とする、という3つの指標だ。これらいずれも満たせていない企業の1つが中国恒大集団だった。