河野太郎行政改革担当相がかねての持論として年金改革を提起したことで、自民党総裁選で論点の1つに急浮上した基礎年金問題。

これに対し、岸田文雄前政調会長は、旧民主党が提起した最低保障年金は消費税の増税が必要となるとして疑義を呈した。河野行革相が2008年ごろに基礎年金の税方式化を唱えていたことを想起しての発言だろう。

総裁選直前の9月10日には、次の公的年金改革に向けて、基礎年金の給付水準の低下を抑えるための新たな仕組みを検討することを田村憲久厚生労働相が記者会見で言及していた。

基礎年金の給付水準低下とは何か

基礎年金の給付水準の低下とは何か。「国民年金・厚生年金『積立金統合案』、何が問題か」で言及したように、現役世代の非正規雇用者が加入している国民年金の給付水準が低下することで、未婚化が進むと、低年金者が増加して高齢の生活保護受給者が増加しかねないという問題である。

「国民皆年金」を標榜するわが国において、基礎年金は現役時代の所得の多寡にかかわらず、全国民に老後に支給されることを想定している。しかし、わが国の年金制度は年金保険料を払わない人には給付しないのが原則だ。年金保険料を支払う期間が短いと給付額も少なくなる。基礎年金においてもそうである。

20歳から40年間、保険料を欠かさず払い続ければ満額の基礎年金がもらえるが、収入や雇用形態が不安定な人が年金保険料を支払い損ねると、基礎年金といえども給付はその分減らされる。

かつては25年以上、保険料を支払わなければ年金を受け取れなかった。今では10年間保険料を支払えば受け取れるが、40年間保険料を支払った人と比べると、当然ながら年金額は少なくなる。加えて、40年間保険料を支払った人が受け取る満額の基礎年金給付額でさえ、将来の給付水準は低下する見込みとなっている。