コロナ時代の長期化で、企業のリーダー層は部下に自分の意思をどう伝えたらよいのか腐心する。営業の最前線に立つビジネスパーソンは顧客、取引先とのコミュニケーションの方法で日々悩む毎日だろう。ビジネスシーンにおけるコミュニケーションは今、企業の大きな経営課題になったのである。

『週刊東洋経済』9月27発売号では「無敵の話し方」を特集した。スピーチ、プレゼンテーション、営業など12の「話し方」スキルを徹底的に解説している。今回、ジャパネットたかたの創業者で、独特の話術で知られる高田明氏にビジネスで成功する話し方のポイントを聞いた。

価値を感じる提案ができれば、1億円の土地でも売れる

──これまで話し方や伝え方について、心がけてきたことは?

このコロナ禍で、伝えること、コミュニケーションの大事さが改めて認識された。国際紛争に社会の分断、すべての事象は伝わったか、伝わっていないかということに根本的な原因があるように思える。

人間はつねに誰かと一緒に生きていかなきゃいけない動物でしょ。夫婦や親子であっても、あるいは上司と部下、国と国であっても、対立の中に見え隠れするのはコミュニケーション不足や伝え方の問題と考える。

私が重要だと考えるのは、伝えたということと、伝わったということとの違い。政治の世界や企業の世界でもそう。国民や消費者に自分たちの考えが伝わったかどうか、確認もせずに伝えたつもりになっているように感じる。

ラジオ・テレビ通販の30年の経験上、伝えたつもりでは売り上げも利益も出ない。伝わったという事実があって初めて、お客様が買うか買わないかの選択をされる。伝えたつもりでは、その選択までいかない。だから私は、伝わったかどうかをつねに自分自身に問い続けていた。

ラジオ通販では、1万円でも売れなかったものもあるが、30万円もするパソコンを何千台と売ったこともある。お客様に商品の価値を感じてもらうためには、自分の思いをどう伝えていけばよいのか。自分なりに一生懸命、考え抜いてきた。今は、音声だけでも価値を感じてもらえる提案ができれば、100万円の商品でも、1億円以上の土地でも売れると思う。