毎週土曜日になると、フランスでは大きなデモがある。それ自体珍しいわけではない。フランス革命の国であるから、反対したいことがあると、人々は堂々とデモをする。しかし、マクロンが政権について1年と半年後、2018年11月から始まった「黄色いベスト運動」、そしてこのコロナ禍の2021年7月から始まった「アンチ・パス・サニテール(衛生パス)運動」は、はっきりとマクロン政権を攻撃目標としている点で、また長期化している点で、これまでにない民衆の厳しい批判といえる。

長続きしないフランスの革命

ロシアのアナキスト、バクーニン(1814〜1876年)は、フランスという国の政治をこう表現している。

「この国にとって政治は一つの理想である。――確かにフランス国にも政治的瞬間があった。しかしそれは瞬間的でしかなかった。だからこそ、彼らは何度も革命を起こしたが、数か月続いたことは稀であって、普通は数日しかもたなかったのである。この数日間こそ、胸いっぱいに息をする権利を獲得したと信じた。勝利に酔った民衆にとっては、自由と祭りの何日かであった。しかしその何日かあとで、彼らは自分たち自身の同意と選挙によって、あるいは君主制政府と呼ばれる、あるいは共和国政府と呼ばれる空気ポンプによって、再び吸い取られてしまった」(『バクーニン著作集』第三巻、白水社、390ページ)

フランスでは、人々は政権に対して何度も革命を起こすのだが、長続きせず、やがてまた再び権力者に飲み込まれ、苦渋を強いられるというのである。フランス人は理想を求めすぎるのか、それとも実際の政治に長けていないのかは不明だが、なるほどバクーニンのいうことは的外れではない。

2017年の大統領選挙で、フランス人は極右勢力でポピュリストのマリーヌ・ル・ペンに対して、フランスの良識の代表としてマクロンを選んだ。もちろん第1回目の選挙で、マクロンを支持した者は少ない。だから、合意の上で選ばれた大統領ではないこともまた確かである。