モノを購入するときに、消費者にとって価格は最重要ポイントだろう。同じ商品やサービスなら、より安く購入したいのは当然だ。そうした消費者の意向は売る側のマーケティングにも大きな影響を与える。

例えば、5千円で売りたい商品があるとき、単に「5千円」と表示するより、「特別価格5千円」とか、「定価1万円を50%オフの5千円」という表示をする場合がある。定価や通常価格と称した価格と実際の販売価格の双方を示し、安さを強調する価格表示はよく見られる。これを「二重価格」という。

二重価格自体は昔からみられ、ただちに違法ではない。しかし、たびたび消費者問題になってきた。高度経済成長時に起きた「カラーテレビ二重価格問題」が有名だ。消費者団体主導の大規模な不買運動に発展した。二重価格は景品表示法(景表法)により、「有利誤認」として不当表示とされることがあり、近年も、ECビジネスの増大によるテレビ・ネット通販で従来考えられなかった新たな問題が生じている。

ここではそれらの違法性判断と消費者が価格表示についてどのように理解し、購買行動に結びつけるべきかについて考えたい。

消費者運動史に残るカラーテレビの二重価格問題

1960年代後半にはカラーテレビが家庭に徐々に普及していったが、国内の販売価格は高額であった。しかし、アメリカに輸出しているカラーテレビの価格は、国内よりはるかに安い価格だったことがわかり、不当廉売(ダンピング)が問題視された。そこで、公正取引委員会の委託により、消費者団体がカラーテレビの価格の実態調査を実施したところ、国内において二重価格が存在していることがわかった。

調査を行った消費者団体は定価そのものがおかしいと問題を提起し、そのことがカラーテレビの不買(買い控え)運動へと発展した。この運動は全国的に広がり、企業はカラーテレビの在庫を大量に抱えることになった。その後、公正取引委員会の警告などもあり、家電メーカーが新機種からの価格引き下げを発表し、運動は収束した。

下取りありで安くなる理由は?

筆者が不思議に思うのは、テレビやネット通販で多く見られる下取り価格だ。エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機などの家電製品を中心に、例えば、通常価格11万9800円の洗濯機を下取り品があれば2万円引きの9万9800円や、4万9800円の掃除機を下取り品があれば1万円引きの3万9800円といった値引き販売だ。

下取り品の古さ、メーカー、故障の有無にかかわらずどんなものでも下取りをするというもの(業務用は除外などの一定条件はある)だが、家電リサイクル対象商品についてはリサイクル料金+収集・運搬料金を、それ以外の製品は小物だと500円程度の下取り手数料を支払うことで大幅な値引き価格で購入できる。