新型コロナウイルスの変異ウイルスである「オミクロン株」に対する警戒感が日増しに高まっている。日本政府は11月30日から全世界を対象に外国人の入国を禁止すると発表した。

11月24日に南アフリカが初めてWHO(世界保健機関)に報告したオミクロン株に対し、VOC(懸念すべき変異株)としてWHOが指定したのは11月26日。

全世界で猛威を振るったデルタ株ですら、インドで確認されてからVOCに指定されるまで6カ月間の期間があった。報告から2日というオミクロン株の指定は、ほかの変異株も含めて最速である。

異例の速さで“マーク”されたオミクロン株はどういう特徴を持っているのか。コロナウイルスを専門に研究している、東京農工大学農学部附属感染症未来疫学研究センターの水谷哲也教授に話を聞いた。

悪いところを“総取り”

――オミクロン株はなぜこんなにも警戒されているのでしょうか?

デルタ株以降、“大物”の変異株はあまり出てこなかった。WHOがデルタ株をVOC(懸念すべき変異株)として指定したのは2021年4月。その後ラムダ株が6月、ミュー株が8月にVOCの前段階である「注目すべき変異株」に指定されたが、どちらもデルタ株の流行に入る隙間がなくて消えてしまった。

オミクロン株はデルタ株に代わって拡大している地域もあるようなので、久しぶりの“大物”になるかもしれない、ということだ。

その可能性の根拠として考えられているのは、ヒトの細胞に感染するときの足がかりになる「スパイクタンパク質」に起きている変異が、従来とは比べものにならないほど多いことだ。

スパイクタンパク質は、いくつものアミノ酸が連なって構成されている。ラムダ株であれば、その内7カ所のアミノ酸が別のものに変わる変異が起きている。一方のオミクロン株では30カ所以上のアミノ酸が変異しており、これまでVOCに指定されたどの変異株と比べても明らかに数が多い。

単に変異の数が多いだけではない。イギリスや南アフリカで最初に確認されたアルファ株やベータ株、インドで確認されたデルタ株など、これまで感染が拡大した変異株の悪いところを総取りしたような特徴がある。

――総取り、ですか?