「会社は45歳定年にして、個人は会社に頼らない仕組みが必要だ」――。

9月上旬に経済同友会がオンラインで開催した夏季セミナーで、新浪剛史・サントリーホールディングス社長が唱えた”45歳定年制”は、一部で大きな反発を呼んだ。「要はリストラではないか」など、識者から”強者の論理”にすぎないと反論されたのである。

もとより、法律(高年齢者雇用安定法第8条)では、60歳未満の定年を禁止している(1998年施行)。参考までに、サントリーHD自身の定年は65歳だから、会社の方針とも矛盾している。

そして何よりも高年齢者雇用安定法が改正された結果、今年4月から、企業は70歳までの雇用確保が努力義務とされた。つまり、新浪発言とは反対に、働いてもいい年齢はどんどん後ろ倒しになっているのが現実だ。

シニア、女性、外国人なしで成り立たない

12月6日(月)に発売された週刊東洋経済12月11日号では「定年格差」を特集。かつて55歳だった定年がだんだん延長され、今春からはついに70歳まで延びた背景とそのインパクトについて、網羅的にまとめている。

ここまでに至った最大の要因はもちろん少子高齢化だ。15歳から64歳までの生産年齢人口は、1995年の8716万人をピークに下降、逆に高齢化率は28%台を占めるようになった。10人に3人は高齢者なのである。

働き手が減るばかりで、人手不足が常態化した日本社会では、シニアや女性、外国人なしでは、もう経済が成り立たない。

長寿化が進み、今や平均年齢は男性が81.6歳、女性が87.7歳。社会保障制度を持続あるものにするため、公的年金(老齢厚生年金)の支給開始年齢は、段階的に60歳から65歳へと延長されている。雇用延長含め、実質定年が60歳のままだと、65歳で年金をもらうまでに収入の”空白期間”が生まれてしまう。つまり雇用延長と年金延長はセットなのだ。