JR東日本の車両の中に、「走ルンです」というあだ名が付いた電車がある。それは209系という車両で、1990年代から2000年代にかけて京浜東北線などで使用され、2018年頃から房総地区などに転出した。この車両は従来の電車の設計を全面的に見直した車両で、この車両のエッセンスは私鉄の車両にも広まったが、JR東日本で「走ルンです」が長期間使用されている一方で、後から作られた私鉄の車両が先に廃車される事態が起きている。

「走ルンです」と揶揄された電車

「走ルンです」というあだ名は、ファンの間で209系を揶揄する呼び方として広まったものだ。209系という電車が作られた際の考え方として「寿命半分・価格半分・重量半分」というキーワードがよく知られている。実際にはどれも「半分」に行き着かなかったのだが、それでも今までの電車の考え方を大きく見直すきっかけとなったことは確かだ。

209系が造られた頃のJR東日本では、国鉄から継承した長期債務の償還を迫られていた一方、同じく国鉄から継承した老朽車両の置き換えも行わなければならない状況にあった。新車を造らなければならないが、お金が掛けられなかったことになる。

「価格半分」の「価格」は、車両を購入するコストやランニングコスト、メンテナンスコストを含めたトータルコストだ。車両を軽く造れば走行する電力が減り、線路への負担も減る。だから「重量半分」とうたわれる。また、「寿命半分」とは車両のライフサイクルの見直しを意図したものだ。自動車でもタイヤやオイルなど、消耗品の交換が行われるが、電車も同様で消耗品が存在する。車両に取り付けられている部品はそれぞれ寿命が異なっているが、車両そのものの寿命を短くすれば、修繕にかかる手間を省くことができると考えられた。

こうして相当な吟味を尽くして設計された車両が209系なのだが、ファンからは「寿命半分」が「使い捨て電車」と見なされてしまった。209系が登場した当時は、使い捨てカメラの「写ルンです」が流行していたこともあり、「走ルンです」というあだ名が付けられてしまったわけだ。