輸入物価が急騰している。企業は価格転嫁に慎重だという見方があるが、消費者がパニック心理にとらわれれば、値上げは容易になる。

勤労者世帯も高齢者世帯も、インフレによって生活が困窮化する。その反面で、国の財政事情は好転する。

いまの日本で、インフレを抑えることができるのは、日銀しかない。なぜ金融緩和を続ける必要があるのか、その理由を説明する義務がある。

昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第61回。

輸入価格の異常な上昇

輸入価格が異常な上昇を示している。

対前年同月比の上昇率は、2021年8月に30%を超え、11月に45.2%、12月に41.9%となった。これは、1979年末から1980年にかけて80%を超えた時以来の高騰だ。

企業物価の対前年同月比上昇率は、11月9.3%、12月8.5%となった。

OECD(経済協力開発機構)の発表によると、2021年11月の加盟国の消費者物価の対前年上昇率は5.8%となった。これは、1996年5月以来の高さだ。

アメリカが6.8%、ドイツが5.2%、イギリスが4.6%、トルコが21.3%などとなっている。

消費者物価はどうなる?

日本の消費者物価上昇率は、一見すると諸外国に比べて低い。生鮮食料品を除く総合指数の対前年同月比は、12月には0.5%だ。

ただし、これには、携帯電話の通話料引き下げの影響がある。12月で、消費者物価に▲1.48%ポイントの寄与率だ。

それがないとすると、消費者物価上昇率はすでに1.98%に達していることになる。