2021年末、高速鉄道の総延長がついに4万kmに達した中国。在来線を含む鉄道の総延長も15万kmを超えている。高速列車のネットワーク拡充で主要都市間の移動時間は年々短縮されているが、在来線を延々と走る長距離列車も中国各地をつないでいる。

高速列車が登場する直前の2000年代初頭、中国の鉄道で花形として君臨していたのは、当時最新鋭の客車を連ねて北京と主要都市間をノンストップで結ぶ夜行寝台列車「Z列車」だった。高速化の進展で今や主要ルートからは外れたが、中国の長距離列車のサービスとイメージ向上に大きく貢献したこの列車と客車の功績を振り返ってみたい。

「夕発朝至」のノンストップ特急

中国では「鉄路大提速」と称するスピードアップを、初回の1997年4月以降、高速鉄道の本格運行開始直前の2007年4月までに計6回実施した。2004年の「第5次鉄路大提速」で目玉となったのが、北京をハブに国内の主要11都市を結ぶ「夕発朝至」と称する途中無停車の直通特急列車「直達 Z列車(Zは直 Zhiの頭文字)」の運行開始だった。

現時点で中国の最新型客車は、この際に登場した「25T型」だ。中国の客車で多数を占めるのは「25系」と呼ばれる車種だが(2021年12月16日付記事「中国の急成長を陰で支えた「2階建て列車」の功績」参照)、車体全長が25.5mのこの客車シリーズは改良モデルによって「25B」「25K」など末尾に英字を付けて区別しており、同一形式の中に見た目や性能が異なる多様なバリエーションがある。25Tの「T」はスピードアップを意味する「提速(Ti Su)」あるいは「特快(Te Kuai)」の頭文字だ。

2004年当時の時刻表を思い返すと、18時53分から20時00分までの1時間ちょっとの間に北京駅から8本の「夕発朝至列車」が連続発車。従来車とは全く異なる藍色のラインをまとった25T型が出発待ちする光景は、中国鉄道の新時代到来を感じるものだった。北京駅のホームにずらりと寝台夜行列車が並ぶ様子は、ブルートレインが東京駅から順次発車して行く光景を彷彿させた。