航空自衛隊が保有するF2戦闘機の後継となる「次期戦闘機(FX)」の開発をめぐり、日英両政府はイギリスの航空・防衛大手「BAEシステムズ」と日本の三菱重工業を主軸とする日英共同開発とする方向で調整に入った。日本の大手メディアが14日、一斉に報じた。日英の両政府筋も筆者の取材に認めた。

戦後日本は日米同盟強化のもと、対米追従路線をひた走ってきただけに、一大国家プロジェクトの次期戦闘機開発で、イギリスとタッグを組むのは極めて異例だ。ましてアメリカは世界最先端の戦闘機技術を有している。

日本を取り巻く安全保障環境が悪化するなか、アメリカ軍と自衛隊の相互運用性の重要性も計り知れない。それでも、なぜ日米共同開発から日英共同開発に事実上の転換をするのか。

日本の「次世代戦闘機」開発の背景

その問いに答える前に、次期戦闘機開発について詳しくない読者も多いと思われるので、簡単にその経緯に触れておきたい。

次期戦闘機について、防衛省はF2の退役が見込まれる2035年ごろからの配備開始を目指している。現在保有するF2と同数の約90機の導入を想定している。政府は開発経費を明らかにしていないが、国内メディアは総額1兆5000億円と報じている。約3000社が開発や生産に関わると見込まれている。

政府は2018年12月に閣議決定した中期防衛力整備計画(中期防)で、次期戦闘機について「我が国主導の開発」と明記した。しかし、防衛省は、戦闘機開発の経験や技術を有する米英の技術的な支援が得られれば、より少ないリスクで、より優れた戦闘機が開発できるとの考えから、その後、「国産主導の国際共同開発」に移行した。そして、2020年12月にはアメリカのロッキード・マーティンを次期戦闘機のインテグレーション(統合)を支援する候補企業に選定し、事実上の「日本主導の日米共同開発」に転換した。

というのも、戦闘機は、機体センサーやデータリンク、武装といった1つひとつの性能が優れていても、それらがバラバラに動いていては全体に高い能力を発揮できない。日本には、それらを効果的に組み合わせるシステム・インテグレーションの設計や経験がなく、技術的に「家庭教師」になるロッキード・マーティンの支援と協力が必要だったからだ。同社は第5世代戦闘機と呼ばれるF22やF35の開発生産を手掛けてきた実績がある。

しかし、ここに来て、防衛省は再び方針を転換し、その家庭教師役の主要パートナーをロッキード・マーティンからBAEシステムズに乗り換えようとしている。いったい何が起きているのか。