日本型報酬体系が、日本の変革を阻害している。

日本企業の報酬体系は、年功序列賃金と退職金制度を核として作られている。労働力の企業間移動が必要な社会において、この報酬制度と社会的要請との齟齬が顕著になっている。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第70回。

日本の賃金は年功序列型

日本企業の報酬体系は、年齢が上がるほど賃金が上昇する「年功序列型」の仕組みになっている。

これは、男子の一般労働者においてとくに顕著だ。図表1に見るように、賃金月額は、19歳未満の18.3万円から年齢とともに増加し、55〜59歳で42.0万円のピークになる。その後は下落し、70歳以上では26.1万円となる。

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これに対してアメリカの場合には、図表2に示すように、30代中頃までは職務経験の蓄積を反映して賃金が上昇するが、30後半以降60代前半までは、ほとんど年齢に関係なくフラットになる。

なお、OECD,Connecting People with Jobs, Towards Better Social and Employment Security in KoreaのFigure1.18に、各国の年齢別賃金のデータが示されている。

それによると、韓国も、日本と似た年功序列型だ。それに対して、ヨーロッパ諸国では、アメリカと同じように、30歳以降は、65歳以上まで含めて、ほとんどフラットな形になっている。