鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2022年7月号「あのころの500系 いまの500系」を再構成した記事を掲載します。

人々がどよめいた「超流線形スタイル」

今回の原稿の執筆に際しストックしていた資料を開いてみたら、「500系のぞみ仏TGV並み最高時速300キロ」「博多直通15分短縮火花散らす新幹線VS航空会社」の見出しが躍る新聞が出てきた。500系が「のぞみ」として走っていた当時、唯一、「日本最高速300km/h」の看板を掲げた列車、そして、そのために類を見ないロケットのような超流線形スタイルの列車に、人々はどよめいたものだ。

500系は、JR西日本が経営の柱である山陽新幹線の競争力向上を図るために産み出し、1997年3月22日のダイヤ改正から新大阪ー博多間「のぞみ」で営業を開始した。所要時間は300系「のぞみ」による2時間32分から2時間17分に短縮された。最初は先行量産車(W1)1編成だけであったため、定期列車は新大阪7時53分発の「のぞみ503号」と博多19時21分発の「のぞみ500号」の1往復であった。多客日は日中に臨時の508・509号1往復を加えた。

本誌で最初の同乗ルポを行ったのは4月17日。このダイヤ改正は秋田新幹線開業があったため、1号ずらす形でレイルウェイ・ライター故種村直樹氏が初乗りをし、5月発売の7月号に掲載した。氏は、改正初日にE2・E3系「やまびこ1号・こまち1号」に乗り、4月に入ってからこの500系のほか、JR東西線(3月8日開業)や北越急行ほくほく線に乗る行動予定について「1か月わたって新系列列車と新線を楽しめるとは、冥利に尽きる」と記している。JR各社がいかに躍進していた時代か、熱が感じられる。そして、新大阪駅で対面を果たした瞬間には「電車というより生きもののようである。顔は鳥だが、全体としては胴長の哺乳類を思わす温かさを感じた。ぬめぬめした爬虫類のイメージではない。きれいだ」と感想を伝えている。