ここであらためて先週のアメリカの株式市況を振り返ってよう。17日にはNYダウが前日比431ドル上昇して3日続伸となったものの、とりわけ好材料が出ていたわけではなかった。また、逆に翌18日はNYダウが同1164ドルもの急落を演じ、肝を冷やした。

その下落の背景としては、前日のウォルマートと当日のターゲットの決算内容の不振が売り材料とされている。確かにその2銘柄について、個別に株価が下落するのはもっともだと考える。だからといって「幅広い企業について業績に疑義が生じ、全面的な株安が生じた」と言われても、納得はしがたい。

では、何が真の相場変動要因であるかといえば、やはり市場心理や需給だろう。このところの市場波乱で、投資家の多くは方向感を失っている。多くの懸念材料が挙げられることで、「株価が大きく上がるだろう」と言われても疑問を覚える。一方では、足元の企業決算全般の堅調さもあって、「株価は大きく下がる」と主張されても、同意しがたい。

すると、投資家が買いも売りも出しづらくなる。結局、売買が薄くなり、少しの売りや買いで値動きが増幅される。そうした市場波乱がさらに投資家の動きを鈍くして……、といった悪循環が生じていると考える。

加えて、株価の方向性が不透明なため、投資家は現物や先物の売買よりも、オプションの買いに走りがちとなる。それがコールとプットの価格を下支えして、それらの価格から算出されるVIX指数(いわゆる恐怖指数)を高止まりさせる。VIXの水準の高さを不安視する向きも、一段と売買を手控える、という面もあるだろう。

全体ではなく「〇〇さえ投資」が破綻か

こうして、アメリカ株式市場において、株価下落時の飛びつき買いや、逆に投げ売りがかさみ、それが市況のでたらめな乱高下を増幅している、と解釈する。残念ながら当面は、そうした不可解な市況の急変が上にも下にも続きそうだ。

とはいっても、株式市場全体としては、狼狽するような大暴落ではない。長期投資としての観点では、S&P500は確かに年初来安値ではあっても、例えば昨年初(2021年初)の水準をまだ5.4%ほど上回っている。

筆者は、アメリカ株式市場全体としては、それほど投げ売りによって崩れてきているとは考えていない。しかし、ある特定の投資手法が崩壊し、そうした手法に依存してきた投資家が泣く泣く投げ売りしていることが、市場全体にも影を落としている。そうした手法とは「〇〇さえ買っていれば大丈夫だ」といった、有望そうな金融商品の一点買いだ。