世界の「SONY」や「HONDA」を生んだ時代のように、日本を再びスタートアップの国にするという目標は、岸田文雄首相が5月5日に行われたロンドンでの講演で発表した4つの目標のうちの1つであった。

「ですから、日本に再び創業ブームを起こすことが、私の切なる願いです」。賞賛に値する目標である。しかし、歴代の首相も高い目標を掲げてはきたが、残念ながら実現に必要な施策を打つことはできなかった。岸田首相はそうならないことを期待したいが……。

スタートアップが必要なワケ

より多くのスタートアップを生み出すための提案について論じる前に、なぜスタートアップが重要なのか、そしてなぜ日本は遅れを取っているのかを確認したい。

「スタートアップ」や「アントレプレナー」という言葉を聞くと、ベンチャーキャピタル(VC)の資金を投入されたシリコンバレーにあるハイテク企業を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、シリコンバレーにあるハイテク企業の数はわずか2000社である。

一方、OECDの統計によると、アメリカには毎年5万社以上の高成長企業(従業員10人以上で、3年連続で年率20%以上の成長を遂げた企業)が存在する。韓国は1万6000社、イギリスは1万3000社、フランスは1万社である。このうちハイテク企業はごく一部で、VC資金を得ている企業は極めて少ない。日本ではこのような企業の数を測定していないため、日本のスタートアップ政策は盲目的に行われている。