9年連続で人口増加。2020年の出生率は1.62と国の1.33を大きく上回る兵庫県明石市。一時は「暴言問題」で辞職に追い込まれたこともある泉房穂市長だが、独自の子ども施策で地域経済を盛り上げ、子育て層から大きな支持を得ている。

7月4日発売の『週刊東洋経済』では「人口減サバイバル」を特集。改革派首長に人口減・少子化社会を乗り切るための子育て政策のあり方を聞いた。

──今では「東の流山市、西の明石市」と呼ばれるほど子育て世代に人気の街になりました。

2011年に市長になった頃はかなりしんどかった。明石市は人口減少が始まっていて、財政は赤字。駅前も廃れ始めていた。

就任3年目の2013年から何とか人口が増え始めて、税収もV字回復させたが、それでもダメなんですわ。

いくら人口や税収が増えたって市民にリアリティーがない。とくに子どもに対する施策に否定的だったのは商売人と高齢者。「子ども福祉ではなくアーケードを造れ」とね。やっぱり自分が助からないと、商店街が儲からないとダメ。

人は儲からないと優しくなれない

風向きが一気に変わったのは、2016年に駅前ビルの全面リニューアルをしてから。人が集まって街がにぎわった。2013年から段階的に、医療費、保育料、おむつ、給食費、遊び場の「5つの無料化」を始め、子育て世帯は明石に住めば金がかからない。だから、「今日はちょっとええもん食べよう」と若い家族がみんな駅前で飯を食い始め、レストランの新店ラッシュですわ。

毎月のおむつ定期便では、子育て経験のある配達員が0歳児家庭をサポート(写真:明石市)

子育て層の負担を軽減したら、貯金に回るんじゃなく、地域で子どものために金を落として、経済が回り出す。商売人も羽振りがよくなって、高齢者も「うちの孫が喜んでいる」となった。人は儲からないと優しくなれない。