東京駅八重洲口の地下に広がる八重洲地下街。国内靴小売り首位のエービーシー・マートと、2位で「東京靴流通センター」などを展開するチヨダの店舗が隣り合わせで並ぶ一角がある。

ビジネスカジュアルの普及、コロナ禍における健康志向の高まりもあり、ここ最近の売れ筋はもっぱらスニーカーだ。国内有数のビジネス街である八重洲も例外ではなく、スニーカーの品ぞろえに強みを持つエービーシー・マートはもちろん、もともと紳士・婦人靴が主力のチヨダも、店頭ではカジュアルシューズの取り扱いに力を注ぐ。

ただ、双方の店舗に陳列されたスニーカーを見ると、品ぞろえの違いが目に留まる。エービーシー・マートでは1区画を丸ごと使って展開するナイキの商品が、チヨダでは「取り扱いがない」(店員)という。代わりにチヨダでは、ウォーキングに特化したスケッチャーズの商品や、「立ったままスパッと履ける」とうたった自社オリジナルのスニーカーが目立つ場所に並べられている。

チヨダでも以前は多くの店舗でナイキの商品をそれなりに取り扱っていた。が、「数年前から、仕入れられる商品が段階的に絞られてきた」(チヨダ広報担当者)。業界首位と二番手の店で今、ここまで品ぞろえに差が出ているのはなぜなのか。

靴小売り世界大手もナイキ商品を縮小

2022年2月末、世界の靴業界に衝撃が走った。アメリカの運動靴販売大手のフットロッカーが、大手NB(ナショナルブランド)のDtoC(ダイレクト・トゥ・コンシューマー、メーカーが消費者に直接販売する形式)強化の動きを受け、ナイキ製品の取り扱いを今後減らしていく方針を明らかにしたからだ。

フットロッカーは欧米を中心に展開する靴小売りの世界的大手。年商は約1.2兆円(2022年1月期)で、売上高に占めるナイキ製品の割合は約70%におよぶとみられる。発表によれば、それを60%以下に縮小する代わりに、自社開発の商品などを強化するという。

この発表を受けてフットロッカーの株価は1日で約30%下落、時価総額にして1000億円超が一気に吹っ飛んだ。