まさに「薄氷の再任」だった。

全国の事業所で品質検査の不正が見つかっている三菱電機。その定時株主総会が6月29日に開かれた。今回は不正発覚後初の総会となっただけでなく、不正問題を機に経営トップとなった漆間啓社長の信任が問われる場でもあった。

その審判は厳しいものだった。漆間社長は取締役に再任されたが、賛成率は58.46%。専務執行役だった2021年から約38ポイントも急落した。

取締役として選ばれるには、総会で株主の過半数の賛成を得ないといけない。賛成率が6割を切るのは当落線上、いわばギリギリの数字だ。

上場企業の社長の中で2番目の低さ

東洋経済では毎年、全上場企業の取締役の総会賛成率を随時集計している。7月4日時点のデータでみると、各社長の中で漆間社長の賛成率58.46%は、IT関連企業・ガイアックスの上田祐司社長(54.40%)に次ぐワースト2位。時価総額が1兆円を超す大手の中でワースト1位となる。

直近1年で何らかの不正を起こした企業に絞っても、漆間社長の賛成率は低い。エンジンの検査不正が発覚した日野自動車の小木曽聡社長は66.59%、樹脂製品の第三者認証取得で不正のあった東レの日覺昭廣社長も63.67%となっている。

この結果を三菱電機はどう受けとめているのか。

賛成率が低いことについて、「品質不適切行為について責任があるという認識のもとに、議決権の反対行使がなされたケースがあると認識している」(三菱電機・広報部)。