だが、新大統領が関係正常化への道を模索する余地があったとしても、それは限られたものだ。なぜなら、尹大統領は歴史的僅差で当選し、先月の地方選挙での勝利に支えられはしたものの、その人気はすでに低下しているからだ。

しかも、国会は民主党が支配しており、大統領の提案に対しては強硬な姿勢を示すとみられる。特に戦時中のデリケートな問題について提案された妥協案に関してはなおさらだ。

「人々は過去の歴史を忘れることはできない」と朴氏は語る。「尹大統領が韓国人の心の奥底にある思いを気にせず先に進めば、深刻な影響が出るだろう」。

日本政府の慎重な反応

同様に問題となるのは、岸田文雄政権の態度だ。同政権は韓国政府からの申し出1つひとつに対し、冷ややかな対応とは言わないまでも、過剰なほどの注意を払いながら対応してきた。

韓国の当局者たちは、林芳正外相の尹大統領就任式出席や、尹大統領の政権移行チームの代表団に対する東京でのレセプションなど、いくつか前向きな兆しがあることを指摘している。

しかし、日本政府は先月、提案を受けた朴外相の訪問を拒否し、さらにNATO首脳会合での真剣な二国間会合を手配しようとする韓国の試みにも反対し、公式の夕食会と、アメリカのジョー・バイデン大統領が主催する短時間の3カ国間会合での非常に短い意見交換で済ませることとした。その会合で、岸田首相は個人的な関係を示すジェスチャーは見せず、北朝鮮による核実験の脅威に対する共同の対応についてのみ話をした。

韓国の当局者たちと日本に詳しい関係者たちは、この温かいとは言えない岸田首相の対応にはいくつかの要因があると考えている。関係者の多くはその要因として、10日に迫った参議院選挙と、安倍晋三元首相と密接な関わりを持つ、自民党内のより強硬な保守派(彼らは韓国の政権交代を意味のある変化とは見ていない)が現在も継続的に力を持っていることを挙げている。

日本の当局者たちは、韓国が両国の関係に重くのしかかる歴史問題を取り除くための明確な第一歩を踏み出すまでは、本当の意味での前進はあり得ないと、主張し続けている。