先月、本欄(「仲良く貧乏」を選んだ日本は世界に見放される)で日本経済の再生のために、アメリカやドイツにならって、①移民の受け入れ、②ものづくりの革新、③IT・金融など成長分野でのクラスター形成、という3点に取り組むことを提唱しました。すると、①移民の受け入れについて、多くの読者から以下のような反論・批判がありました。

「わが国で移民を大量に受け入れるのは現実的ではない。アメリカ、ドイツでも自国民と移民の軋轢が増しており、移民はマイナス面の方が大きい」

「日本は、日本人の手でこれまで着実に成長し、豊かな社会を実現してきた。日本には日本のやり方があり、移民に頼る必要はない」

移民への拒否反応が強いようですが、本当に、移民を受け入れずに日本は経済・社会を持続できるのでしょうか。今回は、多くの日本人が拒否する移民の受け入れという問題について考えてみましょう。

移民が多い国は豊か

まず現状確認から。国連人口部によると、2020年時点で世界には約2.8億人の移民がいます。ここで移民とは、移住の理由や法的地位に関係なく1年以上にわたり居住国を変更した人のことを指します。同年の世界の人口が77.5億人なので、人口に占める移民の割合は3.6%です。

国の豊かさを測る代表的な指標が国民1人当たりGDP。主要国の1人当たりGDP(順位・金額、2021年のIMF統計から)と人口に占める移民の割合は、表の通りです。

1人当たりGDPが大きい国(=豊かな国)は移民が多く、1人当たりGDPが小さい国(=貧しい国)は移民が少ない、という傾向が見て取れます。

当然、1人当たりGDPの高い豊な国に移民がやって来ますが、移民が増えると1人当たりGDPが増えるという因果関係はあるのでしょうか。また、因果関係であるなら、なぜ移民が少ない日本が2000年頃まで1人当たりGDPが大きかったのか、という疑問が出てきます。