日韓関係が悪化した最大の原因となっている徴用工問題について尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後、韓国政府の動きが活発になっている。

5月の新政権誕生後、韓国側はそれまでとは打って変わって日本側に首脳会談の実現や外務相訪日を積極的に働きかけてきた。その結果、林外相と韓国の朴振(パク・チン)外相の会談は2回おこなわれ、スペインで開かれたNATO(北大西洋条約機構)首脳会議出席の機会を生かして岸田首相と尹錫悦大統領の数分間の立ち話も実現した。

いずれの機会も徴用工問題が取り上げられ、問題解決に向けで協議を加速することで一致している。首脳や外相レベルがほとんど没交渉だった文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に比べると様変わりだ。

一方、韓国内では7月初めに外交部主宰で専門家のほかに原告側代表も参加する官民協議会がスタートした。問題解決に向けての対応策などを協議する場で、すでに2回、開催されている。

尹錫悦政権は大法院に意見書を提出

徴用工問題は文政権下で複雑化し両国の国民感情も加わってにわかに解決することは困難とみられる。いったい、韓国政府はどうしようとしているのか、日本政府関係者も尹錫悦政権の一連の動きの意図をはかりかねていた。しかし、7月26日に韓国政府が最高裁判所にあたる大法院に徴用工問題に関する意見書を提出したことで、その意図や狙いが明らかになった。

大法院に提出する意見書というのは法的に規定されており、「国家機関や地方自治体が公益に関連した事項に関し、大法院に裁判に関する意見書を提出することを認める」とされている。

そして今回の意見書には徴用工問題に関連して、「韓国政府は韓日両国の共通の利益に合致する合理的な解決策を模索するため対日外交を続けており、被害者への賠償問題の解決策を探る官民協議会を通じて原告の意見を聴くなど多角的な外交努力を傾けている」と書かれている。