「ソフトバンク創業以来、最大の赤字を2四半期連続で出した。しっかりと反省し、戒めとして覚えておく。今日はわれわれの実態を赤裸々に語りたい」

8月8日、ソフトバンクグループ(SBG)が開いた2023年3月期第1四半期の決算会見。孫正義会長兼社長は苦渋の表情を浮かべながら、そう語り出した。四半期で3兆1600億円という前代未聞の最終赤字。前の四半期と合わせると、6カ月で約5兆円の赤字を計上した。

世界最大のVCが大苦戦

最大の要因は、20兆円規模を運用する世界最大のベンチャーキャピタル(VC)である「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」の不振だ。ファンドの投資損益は、2四半期連続で2兆9000億円規模の赤字を計上。世界的な株安を受け、上場する投資先の株価急落による損失に加え、未上場の投資先の評価額も保守的に見積もり、巨額の含み損を計上した。

ビジョンファンドの累計の投資利益(投資先の時価から投資額を差し引いたもの)は、ピーク時に約7兆円まで膨れ上がったが、直近2022年6月末時点ではわずか1122億円まで縮小。ファンド全体で損益がマイナスになろうとしている。

とくに足を引っ張っているのが、2020年からSBGの自己資金で投資を本格的に開始した2号ファンドだ。1号ファンドの累計損益は1兆5172億円のプラスだが、2号ファンドは1兆3387億円のマイナスだ。同ファンドの投資先は267社にのぼり、上場したのは14社。大半は未上場投資先の評価損とみられる。

例えば、2号ファンドの投資先でスウェーデンの「BNPL(Buy Now Pay Later、後払い)」サービス大手、クラーナ社は2021年の資金調達時に456億ドル(約6兆円)の評価額に上昇したが、市場の冷え込みにより直近の調達では67億ドル(約9000億円)まで急減した。

同社への投資直後、孫氏は「何年も投資担当者が交渉し、ようやく創業者に直接掛け合って投資できた」と満足げに話していた。まさに“逆回転”の象徴といえる。