8月10日夕、第2次岸田改造内閣が発足した。永田町での大方の予想を裏切る時期に行った岸田文雄首相の電撃人事。故安倍晋三元首相の「国葬」の是非に旧統一教会(世界平和統一家庭連合)問題が絡むなど、「党内調整は超難題」(自民幹部)とみられたが、結果的には岸田流人事のしたたかさが際立った。

「国難突破」を掲げて人事に臨んだ岸田首相は、党・内閣の骨格は維持しながら、党内反主流派の重鎮らの取り込みで挙党態勢を構築。注目の安倍派への対応も、同派幹部をバランスよく要職に配して不満を吸収し、各派幹部も多くが「合格点」と評価した。

安倍氏死去で党内の権力構図が一変する中、岸田首相は今回の人事で各派閥や実力者への配慮を重視。菅義偉前首相を旗頭とする党内反主流勢力を巧みに懐柔する一方、「主亡き安倍派」の内部対立を見透かした人事で、同派を手玉にとったからだ。

これにより当面、政権が窮地に陥る事態は回避され、与党内では「岸田首相が求心力を維持する」(公明幹部)との見方が広がる。

コロナ感染拡大、物価高騰、旧統一教会問題…

ただ、コロナ第7波の感染爆発は収まる気配がなく、物価高騰も含めた批判拡大もあって、各メディアが実施した緊急世論調査でも内閣支持率は政権発足後最低水準のまま増減が交錯する状況で、党内と国民の評価には乖離が際立つ。

しかも、これまでの国政選挙を通じた旧統一教会と自民党の“癒着”は「底なし沼の様相」(閣僚経験者)で、故安倍氏の関わりも絡んで、国民レベルでの「国葬」反対の声も大きい。

岸田首相は「国葬外交での大勝負」(側近)を狙うが、それに先立つ国会での閉会中審査などでの野党の集中攻撃を交わして、首尾よく9月27日の国葬にたどり着けるかどうかは、なお予断を許さない状況だ。