テレビなどで若者を中心とした観光客でにぎわう様子がさかんに紹介されている熱海。事実、人気のプリン店や洋菓子店、海鮮丼店などでは若者が列を作っている。一方で、2020年度の年間宿泊客数は149万人とコロナ前の半分にまで急減。はたして、どちらが本当の熱海の姿なのか。観光スポットとしての「今の熱海」の魅力を探っていく。

昭和の時代には400万人を超えていた熱海の年間宿泊客の推移が凋落の一途(2011年度は256万人)から回復し、2015年くらいから300万人を超えたことでV字回復と報道されてきた。2016年11月にできた駅ビル「ラスカ熱海」もにぎわう。

熱海は海、山に囲まれ、老舗旅館から若者向けホテル、飲食店、日帰り入浴施設が豊富で、熱海港からは初島、伊豆大島への船も出ている。何といっても年15回ほどある「熱海海上花火大会」は最大の魅力だ。「縁結びのパワースポット」とされる来宮神社、観光城の熱海城もある。

コロナと土石流事故が打撃

しかし、コロナ禍による外国人の入国制限やまん延防止等重点措置、緊急事態宣言による外出自粛制限が直撃。さらに2021年7月3日に発生した伊豆山地区の土石流事故が追い打ちをかけた。夏休み期間中の花火大会は中止となった。

齊藤栄市長は同年11月5日の市議会臨時会で、コロナ禍と土石流などの影響で、4〜8月の市内宿泊客数が59万人ほどで、コロナ禍前の同時期と比べ、約73万人減少したと述べた。また、日帰り客を含めた経済損失は256億円に上るとの試算も示した。

こうした状況でもグルメや旅行ネタを扱ったバラエティ番組などテレビでは熱海のにぎやかな状況が伝えられることが多い。実は熱海市は「ADさん、いらっしゃい!」と称して、「バラエティ番組や旅・グルメの情報番組のロケを積極的に”無料”でサポート」(熱海市HP)しているのだ。

「6つのお約束!」として、「サポートはもちろん無料!」、「市の専任職員が誠意をもって対応!」、「迅速ていねい!」、「番組企画内容の秘密厳守!」、「幅広い情報とコネクション!」、「臨機応変!」をあげている。コロナ禍や土石流被害を受けながらも、その効果が出ていると思われる。