フォルネッリ氏からは、前作の2階建て車両「ロック」以来採用している戸袋付きの片開きドアについても説明があった。筆者がドアの信頼性について質問すると、「実際に統計を取ったわけではないが、明らかにドア故障の回数は減っており、効果があったのは確かだろう」という話だった。

実際に利用しての感想としては、ほぼ同時期に運行を開始し、お披露目セレモニーも同時に行ったアルストム製の「ポップ」は、早くもドア故障で使用中止の張り紙が目立っている一方、日立製ロックについては全く見かけなかったので、フォルネッリ氏の言葉に嘘はないだろう。

なお、この戸袋付き引き戸、日本からの技術ではないかと勘違いされそうだが、最終判断としてイタリアの技術者が提案したとのこと。ただし、何らかのヒントがそこにあったのではないか、とは考えられる。

日立製車両で旧型車を大量置き換え

イノトランスの2日目には、屋外展示されているブルースの前でお披露目セレモニーが行われ、イタリア鉄道旅客部門子会社であるトレニタリアのCEO、ルイジ・コッラーディ(Luigi Corradi)氏が壇上であいさつした。「フレッチャロッサ」を筆頭とする高速列車が話題の中心だったが、地域輸送も同社を支える重要な屋台骨の1つであることから、今後近郊輸送部門だけで80億ユーロ(約1兆1178億円)を投資すると述べた。

Luigi Corradi メディアの質問に答えるトレニタリアのルイジ・コッラーディCEO(撮影:橋爪智之)

では実際、イタリアの鉄道車両を更新していくために、ブルースを順次投入していく計画はあるのだろうか。セレモニーの終了後、ルイジ・コッラーディCEOを直撃してみたところ、「もちろんだ」と即答。「確かに、今使用されている近郊用車両の多くは車齢40年近くを迎え、老朽化している。だが、次の2〜3年をぜひ注視してほしい。あなたがもし、数年後にイタリアの地を訪れたら、おそらく見違えるような劇的な変化を目の当たりにすることになるだろう。その頃には、保有する車両の平均車齢は7年へと若返ることになる」と力強く語った。

コッラーディCEOによると、今後数年で近郊用車両の8割に当たる車両を更新、老朽化した客車は電車へ置き換えていくとのことで、それは必然的に日立製のブルースやロックといった車両によって置き換えを進めていく、ということになる。