この車両は現在のところイタリア鉄道だけが顧客となっているが、ほかのヨーロッパ諸国で採用されることはあるのだろうか。その点について、日立製作所執行役常務、鉄道ビジネスユニットCEOのアンドリュー・バー氏に尋ねると、「ブルースは欧州各国の基準を満たした車両なので、他国への導入は可能であるため、今後はドイツやフランスなどほかの国へもビジネスを拡大していきたい」との答えが返ってきた。

欧州各地で目にする日は来るか

イタリアマーケットは、もともとアンサルドブレダ時代に築き上げたコネクションもあり、比較的導入しやすいという面もあったが、かつて他国への輸出で大きな失敗を繰り返してしまい、それが元で鉄道製造部門の売却にまで至った経緯もあったため、まずは国外の鉄道会社から信頼を回復させることが優先となるだろう。その意味で、日立という日本企業の一員になったことは、大きな前進だったと言えるのではないか。

2階建て近郊電車ロックに次ぐ日立の新型車両となるブルースは、まもなくイタリアの大地を走り始める。先に運行を開始したロックは、すでにイタリア各地で頻繁に見かけるようになり、大きなトラブルもなく順調に営業運転を行っている。前述の2人のCEOの言葉を信じるなら、2〜3年後にはイタリア中でブルースを頻繁に目撃するようになり、そのさらに数年後にはヨーロッパ各地で活躍する姿を見ることができる日が来るかもしれない。

著者:橋爪 智之