イギリス政府が「国家安全保障上の懸念」を理由に、2021年にイギリス企業の買収を完了済みの中国企業に対して、株式の大部分を手放すよう命じたことが明らかになった。

11月16日、イギリスのビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は中国の電子機器メーカー、聞泰科技(ウィングテック・テクノロジー)の子会社のネクスぺリアに対し、イギリスの半導体メーカーであるニューポート・ウェハー・ファブ(NWF)の株式の少なくとも86%を売却するよう要求した。

BEISの声明によれば、この命令はイギリスの「国家安全保障・投資法」に基づいて下された。同法は、イギリスの国家安全保障に関わる分野のイギリス企業の株式または議決権を外国企業が25%以上取得する場合、イギリス政府への申告を義務づけている。

国家安全保障・投資法は2021年5月に成立し、2022年1月に発効した。ネクスペリアは発効前の2021年7月にNWFの買収手続きを完了していたが、同法はイギリス政府が過去にさかのぼって調査・介入する権限を認めている。それを根拠に、イギリス政府は2022年5月から調査に着手していた。

新法発効前の買収にもさかのぼって適用

NWFは車載用半導体が主力製品で、イギリス・ウェールズのニューポート市に生産拠点を構える。8インチウェハーで月間約3万5000枚の生産能力は大規模とはいえないが、(半導体メーカーが少ない)イギリス国内に限れば最大の半導体工場である。

同社を買収したネクスペリアは、同じく車載用が主力の半導体メーカーで、オランダに本社を置く。聞泰科技は2018年にネクスペリアの親会社の株式を79.97%取得。その後、株式を買い増して2020年に完全子会社化した。

本記事は「財新」の提供記事です

ネクスペリアに買収される前から、NWFはネクスペリアの半導体の受託製造を手がけていた。聞泰科技は2019年、ネクスペリアを通じてNWFの支配株主に出資し、第2位株主に浮上。さらに2021年7月、NWFのすべての株主と売買契約を結び、残りの株式を取得済みだった。

(財新記者:翟少輝)
※原文の配信は11月17日

著者:財新 Biz&Tech