2022年7月8日、安倍晋三元首相の銃撃事件が起こり、社会に大きな衝撃をもたらした。この事件をめぐり、一部のSNS上では「事件はヤラセである」「これは自作自演だ」などというデマが流れた。デマを流したアカウントのなかには、数万人のフォロワーを抱えているようなインフルエンサーもいた。

デマを流したアカウントは、「映像を見ると血を流しているように見えない」「安倍氏を現場で救護する女性と海外で活動する大手テレビ局の女性記者は同一人物で、国が組んだ役者だ」など根拠も提示し、なかには5000回以上リツイート(拡散)された投稿もあった。

しかし、これらは事実と異なり、記者が所属するテレビ局も「記者が当時奈良にいた事実はない」と、産経新聞の取材に回答している。

衝撃的な出来事が起こると、そのたびにSNS上では誤った情報や、極端でミスリーディングな情報が拡散される。

例えば新型コロナウイルス関連でも、「新型コロナウイルスは26〜27度のお湯を飲むと予防できる」という誤った予防法から、「漂白剤を飲むと新型コロナウイルスに効果がある」など命に関わるものまで、さまざまなデマが流れていた。コロナワクチンやロシアのウクライナ侵攻関連でも、多くのデマが拡散されている。

このようにフェイクであふれる時代に、われわれはどのように情報に接すればよいのだろうか。

「誰でもだまされる」を忘れない

まず大切なのは、「自分もだまされる」という意識を持つことだ。

筆者は以前、6000名を対象に、実際のフェイクニュース9件を使って、真偽判断行動を調査したことがある。

その結果わかったのが、平均して、フェイクニュースを見聞きした人の77.5%(4人に3人以上)は、フェイクニュースをうそだと気づいていないということだった。しかもそれは年齢に関係なく、若い人も年齢の高い人もだまされていたのである。